【北京五輪】リュージュとスケルトンの違いと歴史 そして不屈の男・高橋弘篤選手にエールを

リュージュ

冬季北京オリンピックでも正式種目の
リュージュとスケルトンについて。

同じそり競技なのに、
ボブスレーとも違う2つの競技の内容。
歴史とルール。一体、どんなスポーツなんでしょう。

どの国が強いのか?違いはなにかを紹介します。

リュージュ(luge)の歴史とルール

「リュージュ(luge)」という言葉が最初に記録されたのが1905年。

フランス語から英語”small coasting sled”~
直訳すると「小さな惰性で動くソリ」を意味し、
サボイ・スイスの方言に由来します。

リュージュは、フランス語で「木ソリ」という意味です。

歴史

ソリのレースが15世紀のノルウェーで開催されたとあります。

19世紀には、スイスの保養・観光施設で
今のリュージュの原型で遊んだと記録にあるそうです。

1913年にドイツのドレスデンで
ソリ・スポーツの国際的組織化がなされ、
1955年のノルウェー・オスロで世界大会が開催。

1964年の冬季オリンピック(インスブルック・オーストリア)で
リュージュ競技が正式種目として初採用されました。

北京オリンピックでのリュージュの種目数

これまで同様、北京オリンピックでも
リュージュは、4種目が採用されています。
準備されているメダルは12個。

男子1人乗り
女子1人乗り
2人乗り(ダブルス・性別を問わない)
チームリレー

リュージュ1人乗り(男子・女子)

同じコースを2日間かけて4回滑走します。
その4本の滑走タイムを、1/100単位で合計し、速さを競います。

リュージュ 2人乗り

各ペアが同日1日で2回滑走し、同じく合計タイムで競います。

リュージュ チームリレー

「女子1人乗り」→「男子1人乗り」→「2人乗り」の順に走行します。

それぞれが、ゴールの頭上にある
目印のタッチパッドを叩くと、
次の選手のためのゲートが開く形式で、
全員の合計タイムで競います。

リュージュのコース

1000m~1500mの専用トラックを滑走して2回または4回の合計タイムを競います。
標高差は110~130m、平均斜度11-13%、13~16のカーブが設けられる。

2022年北京オリンピックのリュージュ会場は…

中国・延慶にある国家スライディングセンター(北京からおよそ北西に74km)で実施予定だそう。
1615メートルのコース、360度回転する、世界初のトラックを使用します。
最大勾配は18%、カーブは16箇所。

ソリの座席部分が「シャーレ」、
刃(シーネ)がついた滑走部分をクーヘと呼びます。

リュージュで使用する「そり」について

ソリの重量は、1人乗りが21kg~25kg、2人乗りが25kg~30kg。
体重制限はなしで、男子が13kg以下、女子が10kg以下の
重りが許されています。

リュージュの速度は、140kmに達します。
冬季オリンピックの3つのそり競技の中で、最も早い競技です。
2010年には、カナダで最高時速154kmが記録されました。

ソリの上に仰向けに寝て、
フォームを維持しながら
両足でクーへの先端を挟み、微妙な力加減で操縦します。

スタート時に特殊な手袋で氷をかいて
加速してから滑走に入ると、
コースが見えない状態で
高速滑降(100~140km)をしないとなりません。

コースが全て頭に入って集中して滑走しないと、
コースにぶつかったり飛び出してしまう危険と恐怖が
隣り合わせな過酷なスポーツ競技です。

また、オリンピック種目では唯一、1/1000秒を競うタイム競技です。

1/1000秒を距離にするとたった、3cmなのだとか。

壁に少しでもふれたり、
カーブの入りや出口を安定的かつ
高速に進入突破しないとタイムの大幅なロスが生じます。

長野オリンピックでは、4本滑走で合計タイムがわずか2/1000秒で優勝が決まりました。

リュージュの強豪国はどこ?

オリンピックではドイツの圧倒的な強さが目立ちます。

ソルトレイクシティ(2002)、トリノ(2006)の両大会では、
女子1人乗りの全メダルをドイツが獲得しました。
その後のソチオリンピック(2014)でも、全種目でメダルを獲得しています。

これまでに獲得したメダル数で見ると、ドイツが42個と圧倒的です、
次がオーストリアの22個、イタリアの17個。

現在、最も多いメダル数を誇るのは、
イタリアのアルミン・ツェゲラー選手。

けれど彼はすでに引退しているので、
女子リュージュ界の女王と名高い
ナタリー・ガイゼンベルガー選手が
もしも北京オリンピックで「2個メダルを獲得」したら、
ツェゲラー選手のメダル数を上回ると期待されています。

2022年北京オリンピック・リュージュの会場

リュージュ 北京ピクトグラム

中国・延慶にある国家スライディングセンター(北京からおよそ北西に74km)で開催予定です。
1615メートルのコース、360度回転する世界初のトラックを使用します。
最大勾配は18%、カーブは16箇所とのこと。

 

 

スケルトンの歴史とルール

ソリの外観がまるで
骸骨のごとき骨組みだと形容して「スケルトン」となったという語源説とノルウェー語に関する呼び方との説があります。

歴史

スイスのサンモリッツで当時英国で人気スポーツ”Cresta Sledding”に似た競技が元だと言われています。
英国兵士がダボスとクロスター近郊の町にトラックを建設(1882年)して大会があったのが最初とされます。
19世紀末にアルペン周辺でカナダインディアンのソリ「トボガン」に触発して作られたソリが発展したのが現在のスケルトンそりとされます。

1905年まで、スイス国内のスポーツでしたがオーストリアで競技大会が開催されたことより国際化します。
1923年、国際ボブスレー・トボガニング連盟(FIBT)創設。
1926年、国際オリンピック委員会(IOC)はスケルトンのオリンピック種目を申告。
1928年から1948年のサンモリッツ冬季オリンピックで正式採用されます。
その後、危険性が指摘され競技種目より除外されますが、ヘルメットやプロテクターの着用義務化されることで2002年のソルトレイクシティオリンピックより正式種目として54年ぶりに再導入されることに。

ルール(どんなスポーツ?

全長1200m~1300mの
氷のコース(ボブスレー・リュージュ兼用)を専用ソリで滑降してタイムを競います。

平均斜度は11-13%、曲線での半径は20m以上という規定があります。
カーブの数は14~22個。

1人乗りの競技で、
進行方向に頭を向け、うつ伏せ状態で行います。

最高速度は、140kmに達します。
男女別、1人乗りで滑走2回の合計タイムで争います。

ソリと選手の体重を合わせた総重量は、男子115kg以内、女子92kg以内と定められています。
ソリの最大重量は、男子43kg以内、女子35kg以内。
総重量を下回ると重りをソリにつけて競技。

使用されるそりは、
台車のような形をした、そりというよりも「板」。
前方に顔を向けて
寝そべって滑走する姿は、怖くないのだろうか…の一言。

そりの寸法は、
長さ 800-1200mm
高さ 80-200mm
競技者間との距離 340-380mm

 

スケルトンが強い国は?

スケルトンの強豪国はアメリカです。
アメリカ、カナダ、イギリスがスケルトンの強豪国です。
過去のメダル獲得国は北アメリカかヨーロッパの国々が占めています。

スケルトン日本勢 諦めない男がカッコよすぎる

日本勢は、今回の北京五輪の出場枠を逃してしまいましたが、
その背景に、日本のスケルトン環境の厳しさと
諦めないひとりのスケルトン選手の姿がありました。

越和宏選手(ソルトレイクシティ5位)、
田山真輔選手(バンクーバー19位)らとともに
日本のスケルトン界を支えてきたのが、高橋弘篤選手。

ソチオリンピックで12位、
平昌オリンピック22位と、
オリンピックでの入賞こそ果たしていないものの、
世界を戦う実力を十分に備えた選手です。

2010年スケルトンワールドカップ8位、
2010年~2012年の全日本スケルトン選手権大会ではすべて優勝。

日本に、スケルトンというスポーツを広め、
大きく支えてきた人物でもあります。

オリンピック参加への審査基準にモノ申す

日本には、現在使用できる
スケルトンのコースがないのだそうです。
過去のレガシーとして残る唯一のコースは閉鎖されてしまったのだとか。

氷上の設備がなく、
選考のためだけに
海外に候補全員を連れていくには
経費がかかりすぎるという理由で、
日本国内での選考は、
重量挙げや、全力エアロバイクなど、
連盟が決めた「体力測定」中心の8つのテストで審査されました。

結果、スコアやタイムが
連盟の定めた基準に達したのは、わずか1名の大学生。

参加した12名中、11名が基準を満たせず落選しました。
(その後、内定の選手も参加権を手にすることはできませんでした)

スケルトンは、身体の鍛錬はもちろん、
コーナーでの体重移動や勘どころなど、
長い経験やスキルが大きくかかわるスポーツでもあるそうです。

実際、2021年にも、北京会場で練習中の
ポーランドの選手が、防護壁に激突し、足の骨が飛び出るほどの大けがを負っています。
経験で異変を感じ、よけることができなかったら
命を落としていただろうとのこと。
それくらいに、繊細でダイナミックで
危険と背中合わせの競技だということですね。

そういった、滑走スキルやセンスを問うことなく
体力テストだけで判定されたことは
ベテランのプロスケルトン選手の心を大きく傷つけたのではないでしょうか。

でも、高橋弘篤選手は、諦めなかった

選考基準に納得がいかない高橋選手は、
自分のため、また、後進のためにも
審査基準に異論があることを訴え続けます。

それでも変わらない判定基準に業を煮やし、
北京五輪開催直前の、国際大会に自費参加して
テスト走者として滑走します。

国際大会でのタイムは「53.76秒」、
国際大会の選手と比較しても6位と同等のこの高スコアをもって、
高橋選手は再度連盟に訴えます。

世界と十分に戦える実力があることは
連盟も十分理解したうえで、
一度出た選考結果だから
覆すことはできない、と回答しました。

なんという、石頭!!
と、書いているこちらが泣けてきて
腹が立ってしまいます。

それでも、
高橋選手は「まだ、諦めない」とインタビューで答えています。
諦めたくない理由は、諦める理由がないから。
応援してくれる人も、自分も納得いく競技がしたい。

そして、次の五輪に向けてのトレーニングをはじめたそうです。

高橋選手、格好いいです。
次の五輪まで、他の大会で
存分に実力を発揮して、
次の冬の五輪では、その勇姿を見せてほしい。
高橋選手と、続くすべての選手のみなさんに
心からの、エールを送りたいです。

 

リュージュとスケルトンの違い

スイスの観光地で発展、
イギリス人がルールに絡むという点では、リュージュとスケルトンは似ています。

シンプルな違いは、
リュージュは仰向けで足が前、
スケルトンはうつ伏せで顔が前、という点が大きく違います。

ソリ遊びというヨーロッパ、
北欧、北アメリカと世界中にある文化から
スポーツに置き換えて競争とスリルを組織化した場所が
スイスの地だったことは同じですね。

共通するのは、
生身の、体制を起こしにくいスタイルで
滑走するぶん、危険も大きく
より強靭なメンタルが必要なこと、
そして、日本においては
本番に近い練習環境がほとんどなく、
苦戦を強いられつつ善戦していること。

まとめ・北京オリンピックでのリュージュとスケルトンの開催日程

北京オリンピック2022 リュージュとスケルトンの会場とスケジュール

ボブスレー、リュージュ、スケルトンの3競技は、
中国・北京市延慶区にある国家スライディングセンターで開催予定です。

1615メートルのコース、360度回転する世界初のトラックがあり、
最大勾配は18%、カーブは16箇所とのこと。

リュージュには、日本の小林誠也(こばやしせいや)選手(20歳)が
「男子一人乗り」で出場内定しています。(ニュース)。

日程は以下の通り(北京と東京との時差は1時間=東京が1時間進んでいます)

リュージュの開催スケジュール
2月5日{土}
北京19:10-20:20(東京20:10~) 男子1人乗り 1本目
北京20:50-22:00(東京21:50~) 男子1人乗り 2本目
2月6日(日)
北京19:30-20:40(東京20:30~)  男子1人乗り 3本目
北京21:15-21:59(東京22:15~)  男子1人乗り 4本目
2月7(月)
北京19:50-21:00(東京20:50~) 女子1人乗り 1本目
北京21:30-22:40(東京22:30~)  女子1人乗り 2本目
2月8日(火)
北京19:50-21:00(東京20:50~) 女子1人乗り 3本目
北京21:35-22:19(東京22:35~) 女子1人乗り 4本目
2月9日(水)
北京20:20-20:56(東京21:20~) 2人乗り 1本目
北京21:35-22:14(東京22:35~) 2人乗り 2本目
2月10日(木)
北京21:30-22:38(東京22:30~) チームリレー競技

 

スケルトン 開催スケジュール
2月10日(木)
北京09:30-10:24(東京10:30~) 男子 1回戦
北京11:00-11:55(東京12:00~) 男子 2回戦
2月11日(金)
北京09:30-10:24(東京10:30~) 女子 1回戦
北京11:00-11:55(東京12:00~) 女子 2回戦
北京20:20-21:14(東京21:20~) 男子 3回戦
北京21:55-22:40(東京22:55~) 男子 4回戦
2月12(土)
北京20:20-21:14(東京21:20~) 女子 3回戦
北京21:55-22:40(東京22:55~) 女子 4回戦

※開催時間は北京の時刻です(東京との時差は1時間)
 北京が8時のとき、東京は9時となります。
※日程は1/17時点のものです。変更の可能性があります。

 

 

 

前回の平昌オリンピックに続け、今回も中国開催の冬季オリンピック。
ヨーロッパやアメリカ以外の国の選手だけでなく
アジアの選手が活躍することを期待して終わります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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