半ドンとは、方言なのか?死語なのか?
友人から、遊びのさそい。
「半ドン」だから、一緒にどう?
久しぶりに聞いた。
もう「死語」だと思っていた言葉。
その言葉の意味を解説します。
半ドンのドンとはどういう意味か?
半ドンとは
「半ドン」とは、「半日休み」のことです。
半ドンとは・その意味
・午後が半休
・半日の休日
学校や会社、公共機関が午前中のみ「業務・授業」をやり、終わらせること。
午後から「業務・授業」を休むこと。半日休暇。
病院は土曜だけ午前のみ、というところが多いですよね。
病院勤務の方の立場で言うと「土曜は半ドンだ」となります。
半ドンの語源~3つの説
半ドンの語源に3つの説アリ。
有力なものから、見ていきましょう。
オランダ語に由来する説
半ドンの言葉の由来には、オランダ語が関係しているのでは?という説です。
江戸時代、日本はオランダと長崎で交易をしていました。
その頃の一般の日本人には、日曜日に休むという考えがありませんでした。
だから、オランダの人が「しっかり」と、日曜日に休むことが物珍しかったんでしょう。
オランダ語の「日曜日/休日=zondag」という言葉。
日本語には無い言葉なので、そのまま使ったのです。
「ゾンターク」→「ドンタク」
聞き言葉ですから、言いやすい言葉になまって「どんたく」となり。
同じ九州の博多で、年賀行事の「博多の松囃子(まつばやし)」が休日に行われてから、その行事を『博多どんたく』と呼ぶようになりました。
どんたく=休日。
半日の休みだから「半ドン」
これが、有力な説の1つです。
なかなか、古い歴史のある言葉だったのですね。
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参考江戸時代に日曜休日の概念や感覚はあったの?実は意外に・・・
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お昼の空砲説
お昼だよ!の合図の「ドン」という説。
明治初期より、昭和の20年代あたり、西暦だと1876~1945年の間頃。
近代軍隊が導入されて、昭和の戦争が終わるまでの頃。
正午の時間の合図に「空砲を撃つ」地域がありました。
学校のチャイムや役所のサイレン音と同じで、「お昼の時間」を知らせる音が「ドン!」
半日が終了した合図だから、「半ドン」
シンプルで説得力がありますね。
この半ドンの「ドン!」の音を「午砲」と言うそうです。
鹿児島には、この「午砲(ドン)」を鳴らす広場が残っていて、
その場所の名前は「城山ドン広場」。
今は、観光地になっています。
九州の方では、「ドンが鳴ったから、お昼にしよう」
そんな習慣があったようです。
ことばの省略説
日本語は、やたらと省略される言葉です。
「コンビニ」をコンビニエンスストアとは言わないし
「デパ地下」をデパートメントストアの地下とも言いませんね。
昔だと「さようならば、これにて~」が「さよなら」に。
やたらと言葉を省略する日本人。
ならば、「半分休みの土曜日」だから、「半土」
言いにくいから「半土」→「半土ン」
勢い、半ドンになった!
まぁ、ありそうですが・・・。
こういった説もあります。
半日休みの歴史と経緯「いつから、いつまで?」
今は週休二日が一般的ですが、以前は「土曜は休みでなく午前中だけ仕事や学校=午後半休=半ドン」も多かったのです。
半休は、1850年のイギリスの法を真似て、日本でも1876年、明治9年に導入されました。
1970~80年頃まで、だいたいの官公庁、企業、学校は「半ドン」でした。
週休二日制(しゅうきゅうふつかせい)
1週間のうち2日間を休日とする制度。
官公庁・公立学校では土曜と日曜が休日になる。週五日制。[補説]日本では、昭和50年代ごろから一般企業で普及しはじめた。
国家公務員の勤務形態としては平成4年(1992)、公立学校では平成14年(2002)より採用されている。「週休二日制」デジタル大辞泉より引用
学校の半ドンはいつ終わったのか
1992年 | 第2土曜日が休みに |
1995年 | 第4土曜日も休みに |
2002(平成14)年 | 小・中学校が週五日制の土曜日休み |
2003(平成15)年 | 高校も土曜授業が廃止に |
主に公立小中学校、高校で週休二日制が導入
私立学校だと、週6日制の場合あり
高校の卒業年を基準にすると、生まれ年が1985年か1986年。
これより前の生まれだと、「半ドン」の経験者が多そうです。
土曜の午後にうっかり昼寝などしてしまい、
夕方に目覚めて「アッ、シマッタ遅刻する!」と慌てる…に共感する人。
年齢がバレますね。
週6日制の復活はある?
「半ドン」の復活を望む声があるそうです。
ゆとり教育のせいなのか、学力の低下を危惧する人から、
学校の時間割に余裕をもたせたいとする人から、週6日制の議論が始まっています。
また、保護者の多くが週6日制に賛同するという地域もあるそうです。
一方、先生方には負担が増すといった否定的な声もあります。
1970年頃から、週5日制の議論が活発になり、長い年月をかけて制度が変わりました。
定着した週5日制度ですが、一部の私立中学や高校、
公立学校でも、土曜授業の復活を部分的に始めた地域もあります。(大阪や東京)
「半ドン」を経験した社会人には、懐かしむ声があります。
午前中だけ働いて、午後から同僚や友人と食事したり遊びにでたり、
あるいは先の例のように、午後をゆったり過ごしたり。
朝から午前にかけては通常通り活動することで、午後が大切に使えました。
交友も活発だったという話です。
プライベートでも、メリハリがあるのか
家族の外出や時間の共有が今よりもあったという声も。
最近では、「サバティカル」などという言葉が聞かれだしましたね。
サバティカル(Sabbatical)とは、使途にとらわれない長期休暇のこと。
1ヶ月以上の長期休暇が取得できる制度。
日本でも導入しようというもので、実施している企業もありますね。
導入され普及しだすと、「さば休」「さばドン」などと省略されるのかも。
まとめ
「半ドン」の意味や由来を紹介しました。
半ドンは「方言」ではなく、全国の人びとが、同じ経験をするスケジュールに関する言葉です。
だから、今もひっそりと生きている言葉。
週休1日を経験していない世代にはなじみがない言葉なのに、なぜか「死語」になりきれない、
もしかしたら、「復活」するかもしれない「ゾンビ」みたいな言葉です。
「半ドン」を知っていたら、年齢がバレる怖い言葉なのかも。
以上、半ドンの語源や制度について記してみました。