「表示」と「表記」
「明示」と「明記」
わかっていそうでも、
使い分けに戸惑う言葉たち。
これらの意味と違いは何か?
表示と表記、明治と明記の違いが分かったら、
「標示」と「標記」、
「銘記」の違いも一緒にチェックして
モヤモヤを解消してしまいましょう!
「表示」と「表記」の違いはコレ!
表示と表記の違いを、
ごく短く説明すると、こうなります。
表示 | 示し表わす |
表記 | 書き(記し)表わす |
もっと詳しく説明させて下さい。
少し意味を知るだけで、よりクリアに理解が進みます。
「表示」の意味とは?
表示(ひょうじ)には、2つの意味があります。
「表示」の意味
①外部へはっきりとあらわし示すこと。
②図表にして示すこと。
①と②には、共通して、
「はっきりとした形にして示すこと」という意味があります。
そして「示す」には、
相手にわからせること、
「見せる・指す・知らせる」という意味があります。
「示す」の意味
→ 「ディスプレイ表示」の「見せる」
→ 「高速道路の方向表示」の「指す」
→ 「食品の産地表示」の「知らせる」
内(うち)から外(そと)へはっきりと、「見せる・指す・知らせる」ことが「表示」です。
また、図表にあらわすだけでなく、
意思表示のように、「気持ち」といった、
内面の目に見えないものを表わす意味もあります。
「表記」の意味とは
「表記(ひょうき)」の意味をみていきましょう。
表記とは
①おもてに書くこと、書いたもの~おもてがき。
②ことばを文字や記号で書きあらわしたもの。
①と②を言い換えると、表面に書き記(しる)すこと。
内容をはっきりと文字で書きあらわしたもの。
2つの意味には、いずれも「書く」がありますね。
「表記」の「記」は「記す(しる・す)」の意が含まれます。
「記す」は、書きとめる。記録する。
書いて覚えておくの意味です。
おもてに記すこと。
わかるように書いておくこと=言葉にしておくこと。
「表示」を言葉にするとも、言えますね。
「表記」は、文字情報にして「表示」すること。
「表示」を見える化することが「表記」です。
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「表示」と「表記」の違い!
「表示」と「表記」の意味をまとめて、
違いを浮き上がらせましょう。
「表示」は、心の中、頭の中のものを外に表わすこと。
内から外へはっきりと「見せる・指す・知らせる」こと。
要は、何かを外に「伝える」ことが目的です。
言葉でもジェスチャーでも看板でも図表でも。
伝え方(手段)は、いろいろです。
一方、「表記」は、その「表示」を文字情報にすること。
書いておくことが目的でした。
そして伝える手段は書くことに限定されます。
表にして整理しておきましょう。
表示 | 表記 | |
目的 | 外に伝える | 記録する |
手段 | 外にあらわす | 書きあらわす |
「表示」と「表記」の使い分け・例文
〈表示〉
・スマホの時刻表示で開始時間を確認する。
・反対の意見だと、黙って意思表示をする。
・賞味期限の表示によると、冷蔵庫の牛乳は古い。
・競馬場のディスプレイに着順が表示された。
〈表記〉
・住所は表記のとおりだが、名前が違った。
・アメリカの都市をカタカナで表記する。
・価格表記に間違いがある。
・日本語で表記されている説明書を読む。
まぎらわしい!「標示」と「標記」の違い
「表示・表記」の「表」が「標」に変わると、
どういう意味になるのか、みていきましょう。
標示とは
「標示」とは、目印として外部に表し、(人に・誰かに)示すこと。
〈例文〉
・境目を標示する看板。
・境界線が標示されている。
・子ども用と標示があった。
・「準備中」の標示。
標記とは
「標記」とは、目印として書く(つける)こと、書いたもの。
題目として書くこと、書いたもの。題名。
題目とは、研究や施策等の主題。メールの件名。
書物の題名、標題のこと。
〈例文〉
・標記の件を会議にあげたい。
・電車の先頭部に車両番号が標記されている。
・金融機関の本店にある口座は、「本店営業部」と標記する。
「表示・表記」と「標示・標記」の違い
「標示・標記」は「表示・表記」を「目印(めじるし)」として表し示したもの。
「明示」と「表示」の違い
明示とは
明示(めいじ)とは、はっきりとわかるように示すこと。
表示に「はっきり」が加えられた言葉です。
ハッキリと表示する=明示
表示にも「はっきり」と示しあらわすという意味がありますが、
より「はっきり」が強調されると「明示」になります。
「見せる・指す・知らせる」という表示の意味が、
「見せてみせて・指してみせて・知らせてみせて」と、よりはっきりとわかるように「見せて」示すこと。
これが、表示と明示の違いです。
「明記」と「表記」そして「銘記」
明記とは
明記(めいき)とは、はっきりと書くこと、すること。
明記には表記に、
より「はっきり」「くっきり」という、注意が強調された言葉です。
表記は、ただ書きあらわしたもの。
明記は、相手に伝わるように「はっきり」と書く、明らかに記すこと~間違わずに書き残すことの意です。
明記の使い方と例文
・法律に明記されている。
→ 法律にはっきりと書かれている。
・住所氏名年齢を明記して下さい。
→ 住所・氏名・年齢をはっきりと書いて下さい。
・出典先を明記する。
→ 出典先を明らかにして書くこと。
・数量・重量を明記して下さい。
→ 数値を書き表して下さい。
ビジネス文書で使う「明記」
ビジネス文章で、具体的な数字の記入を要求する場合は、明記を使います。
「表記して下さい・記載して下さい」より「明記」が、ふさわしい言い回しになります。
「表記して下さい」だと、ただ「書いて下さい」となります。
「はっきり」と「漏れなく」書いて下さいという気持ちがあると「明記」して下さいになります。
「Wチェックがされた、必要な」表記が明記とも言えます。
要は、「間違えるなよ!」ということです。
銘記とは?
同じ読みに「銘記(めいき)」という言葉があります。
どういった意味があったのでしょうか。
銘記とは
銘記とは
深くこころに刻みつけて忘れないこと。
「師の言葉(教え)を銘記する」
石碑などに刻む文字
明記と銘記との違い
明記は「はっきり」と書くこと。
銘記は、深く心や物に「刻む」こと。
まとめ
今回、記したことをまとめてみましょう。
表示と表記の意味と違い
表示は「外に伝えて表わす」こと。
表記は「記録のために書き表わす」こと。
標示と標記
表示と表記を、目印として表わすのが
それぞれ「標示・標記」。
明示と明記
表示と表記を「より、はっきり」と表わすのが
それぞれ「明示・明記」。
銘記とは
明記を、心やモノに刻んで
忘れないことを「銘記」。