2020年に、鳴り物入りで登場した5G通信。
さぞサクサクなんだろうと思って5G端末に変えたけれど…
……
ホントに5Gが活用できているのか、いまひとつ体感できません。
便利なような、そうでもないような5G。
そのメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
5Gとは?
「第5世代移動通信システム」のことを指す言葉です。
日本では2020年からサービスが始まり、4G通信に比べ、こんな特徴があります。
高速大容量な通信が可能
4Gの20倍の速度が出るそうです。
低遅延通信が可能。
タイムラグが少ないのですね。
同時接続が可能。
東京ドームで多くの観戦者が同時にスマホ通信しても遅延が起こらない。こんなイメージです。
つまり「タイムラグの少ない高速通信が同時に可能」なのが5G。
よく20倍とか100倍とか書かれていて紛らわしいのですが、4Gがリリースされた時(2010年頃)の平均的な通信環境と比べたら100倍、5Gが誕生する直前の2019年の平均的な通信環境と比べたら20倍ということ。
体感で説明するなら、たとえばこれまで3分かかった動画のダウンロードなら、3秒で終わる、くらいの違いだそう。
今後の産業、医療、教育などの分野の通信インフラとして期待されるらしいのです。
…でも、3年経った今も、5Gは今一つ普及していない印象。
その理由はシンプルで、基地局がまだ少ないから、つながりにくい。
そして、5Gの電波(2種類あります)のうち片方は「直進性が強い」、つまり、まっすぐ突き進む性質があって柔軟でない。なので障害物に弱いから。
5G対応のスマホに機種編して、5G通信の契約をしても、基地局がないエリアや、障害物が多くつながりにくい場所、雨や霧で電波が弱まる状況だとつながらない、つながりにくいという状況になりかねません。
5gになると4gは使えないの?
そんなことはありません。
なので、5G端末・5G契約でも場所や状況に応じて、5Gと4G通信を使い分ければいいわけです。
5Gから4Gへの切り替え方
iOSの場合
設定
↓
モバイル通信
↓
通信のオプション
↓
音声通話とデータ
↓
「4G」にチェック
Android端末の場合(例)
設定
↓
モバイルネットワーク
↓
ネットワークモード
↓
4G(/3G)自動接続
※5G非対応の端末はこのようには表示されません
5Gの意味と歴史
5Gは、第5世代移動通信システムの略。
5Gは、4Gに比べて通信速度が20~100倍速く、レスポンスも早いとされています。
また、大容量のデータを送受信できて、同時に接続できる端末数も4Gと比べて大幅に増えます。
そのため、仮想空間や自動運転などの先進技術分野での活用も期待されています。
しかし、4Gの通信設備に比べて、電波が不安定なこと、構築にコストと時間がかかるというデメリットがあります。
ですから、2020年の利用開始から3年経った今も、都心などの一部のエリアでしか5G通信は使えません。
利用エリアが限定されていることから、最新の5Gスマホを買っても4G契約のまま、とか、ローカル5Gを活用したくても対応エリアではないという人も割といるのが現状です。
5Gは何の略?その意味は
5Gとは「5th Generation(フィフスジェネレーション)」を略した言葉です。
携帯やパソコンなどで通信をするシステムが生まれてから、5つめの規格となる通信手段のことで「第5世代移動通信システム」と呼ばれます。
この場合の「世代」とは「移動通信」に関するもの。
1980年にアナログの携帯電話が生まれたのを「1」として数えています。
第1世代
様々なものの最初に登場した時代のものを意味し、それ以降に登場した、異なる考え方に基づいて作られたものや大幅に機能が強化されたものと区別するために使われる用語。
5Gは、2015年に、国際電気通信連合(国連の機関のひとつ)によって推進され、日本では2020年に実現となりました。
4Gの規格を踏襲する「Sub6」と、より周波数の高い「ミリ波」という2種類の周波帯を併用することで、4Gよりも「より高速大容量」「低遅延通信」「同時接続」を可能にするとして期待されていて、現在に至ります。
5Gの歴史
1Gから5Gに至るまでのそれぞれの世代について概観していきましょう。
第1世代(1G)から第5世代(5G)までのおおよその流れはこのようになります。
世代 | 年 | 約1秒あたりの データ通信量 | |
1G 第1世代 | 1980年 ~2000年 | アナログムーバ 自動車電話など | 10kbps |
2G 第2世代 | 1990年 | ISDN 音声電話回線で接続 | 64Kbps 1秒に8KB受信 |
1995年 | Windows95発売 | ||
3G 第3世代 | 2000年 | ADSL ガラケー | 1.5Mbps |
3.9G | 2010年頃 | LTE | |
4G 第4世代 | 2012年 | スマホ | 50Mbps~1Gbps |
5G 第5世代 | 2020年 | 超高速通信 | 1Gbps 4Gの20~100倍 |
〇G、と呼び始めたのも前世代(4G)からな気がします。
せっかくなので、1Gからのおさらいもしてみます。
1G・第1世代
1Gは1980年代に普及しました。
音声を信号化して電波で送受信するアナログ方式ですが、初めて「持ち運ぶことができる電話=携帯電話」が生まれます。
当時のものはアナログで音声通話のみが可能で、現在のような小型ではなく、ショルダーバッグのような箱型や、自動車から電源を取る自動車電話など、利用する人もごくわずかでした。
モトローラ DynaTAC 8000X、ソニー セルスター9010、富士通FF901、東芝T2300など、平野ノラさんが「しもしも~」とやっている、あれです。
現在の固定電話の子機よりさらに大きく、もちろん通話のみの機能、実機も高く通話料も高くて、持っている人はごく一部でした。
2G・第2世代
続く2Gが普及したのは1990年代。
アナログからデジタル方式へと、通信方式が変わったのが最大のポイント。
デジタル化したことで通話品質もグッと上がり、データ通信ができるようになりました。
テキストベースが主で、画像もごく小さなものしか扱えなかったものの、携帯電話でメール送受信やimodeなどのインターネット接続が可能になります。
通話、メール、ブラウザの他、カメラやゲーム機能などが搭載された端末が誕生し、2Gの登場で、携帯電話は単なる通話機器から情報端末へと進化しました。
このころの機種例は、モトローラ(スタータック)、ノキア 、ソニー エリクソン J-500、パナソニックのFOMA 903SHなど。
3G・第3世代
2000年代には3Gが普及します。2Gと比べて通信速度が大幅に向上したのが特徴です。
まだガラケーとPHSが主流の時代で、AndroidやiOSの端末はありませんが、2G時代よりも大容量のコンテンツが利用できるようになります。
動画や音楽の視聴がスムーズになり、あわせて「着うた」をはじめとするプラットフォーム上のサービスも充実します。
カメラ内臓は当たり前になり、GPS機能も付与されました。
4G・第4世代
4Gが普及したのは、2010年代。
スマートフォンの利用者が激増したことは、4Gによる更なる通信速度の向上が背景にありました。
通信速度の向上により、スムーズなインターネット利用が可能となり、ネットゲームや動画など大容量のコンテンツを楽しめるようになりました。
機種としては、まだFOMAが主流で、シェアは少ないものの、2012年まではPHSも奮闘していました。
5G・第5世代
2020年代には5Gが普及していきます。
4Gに比べて「20~100倍ほど高速」で「瞬時に大容量のデータ通信ができ」「より多くの端末で同時接続ができ」「遅延が少ない」のが特徴。
個人の利用の他、機械の遠隔操作や、産業・医療・教育分野でのローカル5Gの利用尾、VR・AR技術の発展も期待され、あらゆるものがインターネットに繋がるIoT化が進むと考えられていてます。
5Gにより、さらに柔軟な働き方の改革もありえます。
5Gの利用可能性は広範に及び、社会に大きな変革をもたらすと期待されています。
5Gの特徴とは?
この項では、5Gの特徴である「高速大容量」「低遅延通信」「同時接続」について解説します。
ちゃんとつながれば高速大容量
従来の通信システムより、格段に大きな通信容量を持つのが5Gの特徴のひとつです。
国際電気通信連合によると、5Gの最大通信速度(下り)の目標値は20Gbps(bpsはビット毎秒)。
これは2010年当時の4Gの約100倍、2019年春のNTTドコモによる「PREMIUM 4G」の約20倍です。
ちゃんとつながりさえすれば、5Gが4Gと比べ大きな容量を誇ることが分かります。
ちゃんとつながればタイムラグがほぼない
タイムラグをほぼ感じさせない、低遅延通信も5Gの特徴です。
国際電気通信連合の目標は1ms(msはミリ秒、1秒の1000分の1)。
4Gでは10msだったので、4Gの10分の1まで短縮されます。ちゃんとつながればね。
理論上は大量の同時接続が可能
多数のデバイスの同時接続が可能となることも5Gの特徴です。
4Gと比べ10倍の機器が接続可能となります。
スタジアムやライブ会場のような、大勢の人がいる状態でもスマートフォンを快適に使用できる!
身の回りのさまざまなものがインターネットに繋がるIoT化が進む!と期待されています。
それもこれも、5Gの基地局がもっと整備されていけば叶いそうです。
5Gでできることは?
5Gが普及すると、これまでと何が変わるのか?
その活用が実用化されたり、期待されているケースを紹介します。
VR体験
VR(バーチャルリアリティ=Virtual Reality)とは、仮想現実の略。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やゴーグルなどのデバイス…つまり、ヘッドセットやヘッドホンをつけて、コンピューターが作り出した仮想の世界を体験できる技術です。
まるで現実にその場にいるかのように体験できるので、ゲームや観光、教育、各種トレーニングなどに実際に使われています。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やゴーグルなどのデバイスを装着して、仮想世界をあたかも現実世界にいるかのように体験することができます。
AR体験
AR(オーグメンテッドリアリティ=Augmented Reality)とは、拡張現実の略。
現実世界にコンピューターによって生成された情報を重ね合わせるもの。
スマートフォンやタブレットなどを操作して、現実世界に仮想オブジェクトや情報を表示させることができます。
よくあるものでは、リビングルームをカメラで映して、そこにバーチャルの家具や家電を配置させて、設置イメージを確認できるサービスや、自室にキャラクターを出現させたりする技術。
VR、ARともに、大量のデータのやり取りが発生しますが、5Gなら遅延なく使うことができるようです。
また、ゲームなど複数人で同時に接続するものも、5Gならサクサクという理屈。
多様なスポーツ観戦
5Gによって、スポーツ観戦も変わります。
従来のテレビでの観戦より高画質・高音質な映像が楽しめる。
また、先に書いたVRやAR技術を活用すれば、自分もスタジアムにいるかのような感覚を味わうこともできます。
ドローンやウェアラブルカメラなどをローカル5Gと連携させることで、これまで見られなかった角度の映像もリアルタイムで見ることができてしまうそうです。
NTTドコモはラグビーワールドカップ2019日本大会で、KDDIはプロ野球公式戦で、観客がリアルタイムで多視点から試合を観戦できるサービスを提供しました。
また、東京2020オリンピック・パラリンピックでは、NTTが実証実験としてスタジアム内にローカル5Gの基地局を設置しました。
5Gのスポーツ観戦への導入は、各通信社がすでに実証実験を終えて、あとは日常的な実用を待つのみ。
総務省の試算によると、5Gを活用したスポーツ観戦の経済効果は2000億円以上になるともいわれているそうです。
遠隔技術
5Gの特徴である「高速大容量」「低遅延通信」によって、遠隔技術が発展することも期待されています。
医療面では、遠方にいるその分野に長けた医師の助言を受けながら手術ができる「遠隔手術支援」が進むと考えられています。
また、遠方にいる医師自身が「遠隔手術」を行うようになる可能性もあります。
5Gで遠隔操作することで、建設現場や被災地の危険な場所に、無人のショベルカーやクレーン車などの重機や、ドローンで乗り入れることもできます。
ローカル5G
5Gの特徴の一つであるローカル5Gの「同時接続」によって、パソコンやスマートフォンだけでなく、機械や家電など「モノ」のインターネット化けが進むと言われています。
ローカル5Gとは、特定のエリア内で、5Gのネットワークを構築・運用する技術。
5Gの特長は、高速、低遅延、多数同時接続ですから、従来の4G LTEと比べて、IoT機器(インターネットと接続できる機械)の活用が進みます。
ローカル5Gをもうすこし具体的に解説すると
- 製造業:工場内における機械の制御や、作業員の安全管理にローカル5Gが活用できる
- 農業:農作物の生育状況のモニタリングや、農薬散布の自動化ができる
- 医療:遠隔医療や、手術支援にローカル5Gの技術が活かせる
- 教育:遠隔授業や、生徒の学習状況のモニタリングができる
- エンタメや観光:より高品質な映像配信や、VR/AR体験
ローカル5Gは、まだ開発途上ですが、今後が楽しみな技術なのです。
lot機器についても紹介していきます。
ローカル5G・IoT化の促進
IoTとは、Internet of Thingsの略で、モノのインターネットという意味で、モノがインターネットに接続して、データをやり取りする仕組みです。
一般家庭なら、スマート家電で、エアコンやお風呂の電の操作や、セキュリティ管理を遠隔で操作できます。
家ごとlot化されているスマートホームも増えているそうですね。
産業面では、例えば製造業なら、IoTを活用して、生産ラインの効率化や品質管理を、農業では、IoTを活用して、農作物の生育状況をモニタリングしたり、農薬の散布を自動化したりしています。農業用機械と土壌や気象の情報などが繋がることで、より効率が良い農業’(スマート農業)も可能になります。
医療現場では、医療機器と院内の設備などがインターネットでつながり、より有効な医療処置が可能になり、商業施設では、リアルタイムの在庫管理・自働発注、客の導線を分析しマーケティングに活用することもできてしまうわけです。
働き方改革の促進
ビデオ会議や、データの共有が一瞬でできることから、働き方改革にも5Gが役に立つと言われています。
仕事と出産、育児、介護などが両立しやすい職場環境を目指すことができるといいですよね。
自動運転
5Gは自動車の自動運転をより現実的なものにしそうです。
2019年、KDDIが5Gを使って公道での自動運転の実証実験を行い、時速30kmと比較的低速ではありますが安全な走行に成功しました。
5Gの「低遅延通信」の技術なら、より安全な遠隔操作、遠隔運転ができるようになるらしいです。
また「大容量」のデータを扱えるため、走行エリアの映像情報や3次元の高精細デジタル地図を送受信することができ、より正確な運転につなげていくことが可能。
まとめ
2020年3月から、大手キャリアによる日本国内での5Gサービスがスタートしましたが、3年たったいまも、正直まだ活用できている人は少なそうなのが現実。
けれど、4Gに比べて通信速度が20倍以上速く、ラグも少なく、一度にみんなでつなげる強みが活かせれば、多くの活用方法があるのです。
その一例を紹介しました。
つながらないんじゃ意味ないじゃん。の5G。
私自身、あまり恩恵を受けている感覚はないのですが、過大な期待をせず使っていれば「おおっ速いっ」となる瞬間が増えていくのかも。
最期までお読みくださり、ありがとうございました。
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