ボジョレーヌーボー解禁日に嘲笑やまずいからの解放を

今年もボジョレーヌーボーの話題を聞く季節がやってきた。
街を歩きお店に入れば、その名前はなんとなく目に入ってくる。

いつもの代わり映えしない煽り文句が、キャッチコピーのコピペに加わる。
普段、ワインを飲む人からも、
飲まない人からも悪態が聞こえてきそうだ。

もう、輸入量も消費量も下火になってきた。
ヌーヴォーさん、もう頑張らなくていいんだよと。

解禁日に向けて思ったことを書いてみた。

ボジョレーヌーボー解禁日に思うこと


ボジョレーヌーボー

その興りは、商魂たくましい1人の男によってもたらされたと言っていい。

ジョルジュ・デュブッフ氏

醸造家であり戦略家だ。
ボルドー地方の安ワインを一躍、世界的なブランドにした人である。
彼にはいま、「ボジョレーの帝王」という呼び名まであるくらい。

100年以上前には、がぶ飲みする安酒として人気があったボジョレーヌーボー。

販売者と酒飲みの欲求の高まりを抑えるため、わざわざ解禁日を設けて法律まで制定した。

その日が11月の第三木曜日となり現在に至る。
2021年は11月18日、
そして2022年度は11月17日が、解禁日というわけ。

「ヌーボー」とは「新酒」の意味。

ワインはある程度、寝かせて熟成してから飲むものだが、
ボジョレー・ヌーヴォーは収穫して数カ月後には世界の店頭に並ぶ。

ジョルジュ・デュブッフという人は、
初物ですよ~と
リヨンの3つ星レストランのメニューに組み込むことに成功。

高級化して、ラベルをおしゃれに替え、
生産者を巻き込みアメリカや日本に市場を作り上げたのだ。

日本で一番、よく見るあの
花柄デザインのボジョレーヌーボーは彼が醸造元だ。

販売元のサントリーは、
ジョルジュ・デュブッフの物語」と特設サイトまで作っている。

彼がいてサントリーや電通を通して私たちは口にし、まずいと言う。

壮大な仕掛けと仕組みを作った人々に、
心から畏敬の念を持ちつつ…私も思う。
ボジョレーヌーボーは「まずい」と。

ただ、この新酒ワインに関わる人々に罪はなく嘲笑しても意味がない。
嘲笑されているのは、
今なお消費し続ける我々なのかもしれない。

ボジョレーヌーボーからヌーボーを取ればまずくなくなる

ボジョレーヌーボーからヌーボーを取ると新しい世界が見えてくる?

ヌーボーを取ったボジョレー産のワイン。
当然、存在します。

ブルゴーニュの南に位置し
恵まれた気候と、花崗岩質の痩せた土壌という独特な環境は
「ガメイ種」単品種から作られる、豊富な赤ワインを生み出してきました。

AOCで区分された格付けがあり、

クリュ・ボジョレー(畑単位)
ボジョレー・ヴィラージュ(地区単位)
ボジョレー・シュペリュール(村単位)
ボジョレー(地方単位)

に分類されます。

単位が小さくなるほど、希少性は高く上質。

10箇所の畑がクリュ・ボジョレーと名乗ることができ、
その質はボジョレーヌーボーと比べることが出来ないくらい素晴らしい。

ちなみに、ボジョレーヌーボーは
"ボジョレー"と"ボジョレー・ヴィラージュ"分類内のもの。
ワンランク上のヴィラージュ・ヌーボーを最近、見かけることが多くなった。

1つの品種と分類で酒を「まずい」で終わるのはもったいない。
ヌーボー以外のボジョレー産のワインを探してみるのも一考だ。

ボジョレーヌーボーと漫画とジャン・クロード・ラパリュさん

累計1000万部を越えて読まれるワイン漫画「神の雫」が
ボジョレーヴィラージュヌーボーを2017年に出したとか。
人気漫画の発信力を借りて、需要を喚起しようとの試みだろう。

私にも漫画と関係した忘れられないボジョレー産ワインがある。
2度ほど、違う人と違う場所で開けたワイン。
そこで偶然、聞いたうんちくに漫画がでてくるのでよく覚えている。

Brouilly Cuvee des Fous(ブルイィ・キュヴェ・デ・フー)
年代は忘れたが一度はすごく美味しく感じ、もう一度はただ酸っぱいと感じた。
まあ、主な原因は一緒に飲んだ人の違いなんだけど。

生産者はジャン・クロード・ラパリュさん。
真摯に、愚直なまでに自然派で
ボジョレーの土地と向き合って生み出された彼のワインは評価が高く、
土地の若い生産者たちへの影響力も大きいと聞く。

そんな彼のワインが漫画「ソムリエール」で紹介されていた。
ブルゴーニュ型ではなくボルドー型の肩ボトルを使用した
Brouilly Cuvee des Fous(ブルイィ・キュヴェ・デ・フー)は日本語で
愚か者たちのワイン」と言う。

他のボジョレーヌーボーを揶揄しているのか、
はたまた売れないけど良い物を作るのだとする自負への皮肉か。

ホントの愚か者たちは、
11月のこの時期にヌーボーを嘲笑しながら
消費する私達日本人なのかもしれない。

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