畦・畔とは?
その読み方と意味を表にして解説します。
「畦」も「畔」も、「あぜ」と読み、基本は同じ意味です。
「畦道」と「畔道」も、会話や小説などでも
ほぼ同義で使われていますが、厳密には、すこーしだけ、違います。
畦と畔の漢字の成り立ちと会意。
基本の読み方は1つですが、他の読み方も紹介。
またその2つの漢字で出来ている「畦畔」の読み方と意味、
「畦」と「畝」の違いと意味も併せて解説します。
畦と畔の違いを表にしてみた
畦 | 畔 | |
読み方 | あぜ/うね | あぜ/くろ/ほとり |
音読み | ケイ | ハン |
部首 | 田(たへん) | 田(たへん) |
画数 | 11画 | 10画 |
意味 | 田畑の境や区切り あぜ | 耕作地の境。 あぜみち くろ |
畑のうね | 水際(ぎわ)のほとり | |
敷居の仕切り | そむく、避ける ものの切れ端(読み=たとり) | |
稲作の水田と水田の境に土を盛って、水をせき止め防ぐもの。 土を盛り上げた田畑の境。境目。 |
畦・畔の漢字の会意と他の読み方
畦
田 + 圭(ケイ)
圭は区切る、かどだつの意。
街、町並みを区切る「道」と同系の意味あい。
区切って境界をつける。
田畑を区切るあぜ道~くろ・うね。
敷居や鴨居の溝と溝の間にある仕切り。
読み方
あぜ、うね、くろ、けい、ウネ
畦を使った語句
- 畦道(あぜみち)
畦路・畔路(あぜみち/はんろ)
※畔も含みます - 畦塗り・畔塗り(あぜぬり)
=田んぼから水が漏れ出たり、道が崩れたりしないように、固く土で塗り固めること。
水田に水を入れたら真っ先に行う作業です。
田植えの前に行うことから、春の終わりを表す季語としても使われます。
※畔も含みます - 畦豆(あぜまめ)
田畦豆・田畔豆(たのくろまめ)=水田の畦道にまいて育てる大豆(枝豆)のこと。
田んぼの畦道は、良い水路に恵まれているため、豆をまいてさえおけば勝手に育ってくれる大豆がよく栽培されます。
畦塗りが終わり、土が固まったところで豆をまくのだそうです。 - 年貢いらずの畦豆(あぜまめ)
ことわざ。
あぜ道にまいた豆には年貢がかからないことから、ただで手に入る・設けることを表す諺です。 - 田の畦(たのくろ)、田の畦豆(たのくろまめ)
茨城県で栽培される大豆(枝豆)の品種。
神奈川県(三浦半島)でも作られているようです。
これはAmazonで販売中の アゼシート(の支え棒)の写真。
畦塗り同様に、水路と分け、補強する道具類は「畦板」と呼ぶようです。
そして、これが「あぜ」ですね。
参考に、こちらもAmazonから。
(出典・amazon)
ガーデニングのスペースに埋めこむパネル型の杭。
この場合は境界ですから、
「畦」「畔」の視点でいうなら、「畔」が当てはまりますね。
(実際には使いませんが…)
例文
畦/あぜ
「母があ、こう云ゆにしてガアガアど聞えるものぁ何だべ。」
十月の末/宮沢賢治
畦/うね
急に良平の方へ笑い顔を振り向けながら、足もとの畦(うね)を指してみせた。
百合/芥川龍之介
畦/くろ
彼れア昔からある石だが、あんなもの建てなけりゃアいゝに、
真景累ヶ淵/三遊亭円朝
畔
田 + 半(ハン)
半は2つにわかれるの意。
田と田を2つに分けた境界。くろ。
ほとり=水辺/水際~水と岸とを分けた境界線(湖畔・こはん)
ほとり=もののかたわら。わき。
「反」と同音で「そむく・逆らう」などの意味を含むこともあります。
そむく。敵対する。わかれる。
読み方
ほとり、くろ、あぜ、たもと、ほと、はた、あ、はん、みぎわ、そば
畔を使った語句
- 畔界(はんかい)
田と田の境界 - 湖畔(こはん)
みずうみのほとり。 - 畔逆(はんぎゃく)
=謀反、反逆 - 畔柳(くろやなぎ)
=苗字。「なまえさあち」さん調べによると、愛知県に多い苗字だそうです。
畔柳亨丞(プロ野球選手)、畔柳二美(小説家)
例文
畔/ほとり
貧しげなる夫婦のものに、介抱せられてゐたりき。
うたかたの記/森鴎外
畔/くろ
立ち往来を外れ田の畔(くろ)をたどり、堤の腰を回るとすぐ海なり。
置土産/国木田独歩
畔/はた
映画や演芸の屋台などで人を集め、大川の舟遊びも盛っていた。
縮図/徳田秋声
畦畔と畝の読み方と意味
畦畔(けいはん)
読みは「けいはん」
農業用語で「あぜ」のこと。畦塗り、畦作りをして土を盛る。
不動産用語で農業の「あぜ」に利用する土地、細長い区画のこと。
田圃(田んぼ)の場合、水をせき止める役目と、境界線・通路としての役目を兼ねます。
畝(うね)
畝と畦
部首は田(たへん)で、畦・畔と同じ。
読みは「うね」で、畦の「うね」と同じ畑のうねを意味します。
「せ」とも読め、田畑の面積の単位です。
1畝(っせ)で、約1a(アール)、約100㎡。
山や波の小高くうねったところ。織物でもいう。
音読みは「ホ」、「ボウ」。
田畝・田圃~デンポと読み、田のあぜや畑のうねの意味。
漢字『畦・畔・畝』のまとめ
「あぜ」とは?
畦と畔の違いは何か。
畦は仕切りの「あぜ」と畑の「うね」
畔は境界の「あぜ」みちと水辺の「ほとり」
「圭」は区切り、「半」は2つに分かれる。
畦畔は、「けいはん」
田んぼなどの、境界線・通路・水のせき止めも兼ねている部分。
畝(うね)は、畦と同じ畑。
「あぜ道」と、ひらがなで書かれること多いので、あれ?と一瞬考えこんでしまいますが、
水田のあぜ道は「畦」「畔」どちらも使って間違いではないです。
体感では「畦」と使われているほうが多いかなあ~というくらい。
また、半がつく「畔」は「静かな湖畔の♪」の通り、きっちりとした分かれ目を指して使われます。
あぜ、あぜみち。
あまり使われなくなった言葉かもしれないですね。
脇道と同じ意味と思っている子もいました。
あぜ道が減ってきていることと、
道そのものが、広くなっていることも関係しているかも。
棚田などの仕切り道のような細いイメージならぴったりですが、
農業機械が通れるほどの規模になってくると、主に「農道」と呼ばれてしまいます。
以上、畦と畔の違いでした。