来年と明年の違いとは。
来年と去年、前年と翌年では、どう違うか。
昨年、旧年、新年では?
違いや使い方はどうか。
丁寧な言い方はどちらか?
重複しますが、比べて解説しています。
来年と明年、翌年の違い
英語にするなら、どれも
「next year=次の年」となりますが、
このような違いがあります。
【来年】らいねん
今年の次の年のこと。
「今年」を基準にする場合の「次の年」。
【翌年】よくねん、よくとし
その次の年のこと。
「ある年」を基準にする場合の「次の年」。
例)2029年の翌年は2030年だ。
「今年の次」の年 は「来年」と表現します。
「(今年の)翌年は2030年だ」は間違い。
「翌年」は文章で使うことが多いですね。
【明年】みょうねん
今年の次の年のこと。
来年と同じ意味です。
公的な挨拶などで使う改まった表現でしたが、最近はあまり使われなくなりました。
※マスメディアの「用字用語辞典」だと
『「明年」を「来年」と言い換える』とあります。
「明日(みょうにち)」もあまり、言わなくなりましたね。
年末の挨拶状や、
喪中の年賀欠礼の挨拶文では現在もよく使われます。
「明年も倍旧のご交誼を賜りますようお願い申しあげます」
対して
【明くる年】あくるとし
送り仮名(明・くる・年)が入ると、基準となる年があって、その次の年。
翌年と同じ意味になります。
あくる日(明くる日)、
あくる朝(明くる朝)などに
置き換えて考えるとイメージしやすいかもしれないですね。
〈使い方〉
〔来年〕
▽来年の今ごろまでには、きっと手に入れるぞ。
▽来年の計画を立てよう。
〔明年〕
▽次回のシンポジウムは明年五月開催の予定です。
〔翌年〕
▽結婚した翌年、長女が生まれた。
〔明くる年〕
▽その明くる年も、同じように豊作だったそうです。
「よくねん」と「よくとし」の違い
音読みか重箱読みかの違い。
より改まった言い方が「よくねん」
より私的な言い方が「よくとし」
重箱読み(じゅうばこよみ)とは、変則的な読み方のひとつ。
語の上の字を音、語の下の字を訓として読む読み方。
※重じゅう=音読み、箱はこ=訓読み
前年と翌年の違い
【前年】ぜんねん
その前の年のこと。
ある年を基準にする場合の前の年。
前年は昨年と同じ。
以前のある年≒先年(前年よりは遠い時点・過去)
【翌年】よくねん よくとし
上の説明に同じ。
前年と反対(基準となる次の年)が翌年。
〈使い方〉
〔前年〕
▽収穫は前年の2倍になった。
▽大学を卒業する前年の春であった。
来年と去年の違い
【去年】きょねん
今年の前の年のこと。
今年を基準にする場合の前の年。
【来年】らいねん
今年の前の年のこと。
今年を基準にする場合の「前の年」。
去年と同じ考え方です。
〈使い方〉
〔去年〕
▽去年の冬は寒かったね。
▽去年の今頃は入院していたんです。
明年と昨年の違い
【昨年】さくねん
今年の前の年のこと。
今年を基準にする場合の前の年。
去年と昨年とは同じで、英語なら「last year」です。
「去年」は私的でフランクな会話で主に用います。
丁寧な言い方、公(おおやけ)の表現なら「昨年」を使います。
【明年】みょうねん
上の説明に同じ。
昨年と反対(今年の次の年)が明年。
〈使い方〉
〔昨年〕
▽それは昨年に発売された商品だ。
▽昨年の九州場所から休場している。
▽ 昨年は大変お世話になりました
〔明年〕
▽明年も倍旧のご交誼をお願い申しあげます
今年と本年と当年の違い
【今年】こんねん ことし
【本年】ほんねん
この年。
現在、現時点の年。
その人が現在身を置いているその年。
ことし。当年。
今年も本年も同じ意味です。
英語なら「this year」。
今年は、通常の普通語、普通文で使います。
本年は、より丁寧な言葉です。目上の方や公な場面で使います。
【当年】とうねん
現在、現時点の年。
基本、今年、本年と同じなのですが、
「今現在の年」をより強調する時に使われます。
また「今年訪れる年齢」や
「その当時」というニュアンスを含むこともあります。
現在では主に年齢について使われますが、めったに聞かなくなりました。
〈使い方〉
〔今年〕
▽今年もよろしくね。
〔本年〕
▽本年も宜しくお願い致します。
〔当年〕
▽当年とって60歳
▽池田瑞仙の一族は当年の名医である
(『渋江抽斎』森鴎外)
旧年と新年の違い
【旧年】きゅうねん
〈新年にいう〉去年、昨年。
新しい年に対して、過ぎ去った前の年のこと。
【新年】しんねん
あたらしい年。あらたまった年。年の始め。
「旧年」も「新年」も、年の初めに言う言葉。
旧年は特にお正月に使う季語。
旧年の反対が、新年。
ただし、旧年に「来」がつくと「以前からずっと今までの間」の意味に転じます。
「行く年・来る年」は
「暮行く年、過ぎ去っていく年・新たに訪れる年」。
主に年末も迫った頃に使われます。
〈使い方〉
〔旧年〕
▽旧年中は大変お世話になりありがとうございました。
▽彼らとは旧年来の付き合いだ。
〔新年〕
▽新年おめでとうございます。
▽新年早々に風邪をひいた。
同義語と反対語、丁寧な言葉
[同義]
来年=明年
去年=旧年
去年=昨年
前年=昨年
翌年=明くる年
[反対語]
前年⇔翌年
昨年⇔明年
去年⇔来年
旧年⇔新年
[より丁寧な言葉]
今年⇒本年
去年⇒昨年
去年⇒旧年
来年⇒明年
おととし⇒一昨年(いっさくねん)
まとめ
簡単な一覧にしました。
Next Year | 起点となる年 |
来年 | 「現在の年」の次の年 |
明年(丁寧) | |
翌年 | 「ある年」の次の年 (the next year.…) |
明くる年 | |
Last Year | 起点となる年 |
去年 | 「現在の年」の前の年 |
昨年(丁寧) | |
前年 | 「ある年」の前の年 (the year before…) |
旧年(丁寧) | 主に「新年」から見た前の年 過ぎ去った過去を示すときもあり |
This Year | 起点 |
今年 | 「現在の年」の前の年 |
本年(丁寧) | |
当年 | 現在の年、年齢 当時の年、年齢 「当時」という意味もある (current year) |
当年。
年齢に対して使うのが大半ですが
「あたりどし(当たり年・当年)」と読むと
「幸運に恵まれ、物事がうまくゆく年、うまくいった年」となります。
豊作の時など「今年は当たり年だ」などと使いますよね。
「とおねん(10歳)とって60歳」などと、
10歳マイナスして言う駄洒落もありました。
子供が幼少時に届いた、お友達からの年賀状。
「去年はありがとう」
「今年もいっぱいあそぼうね」
オイオイ、「去年」は話し言葉だよ…
なんて野暮なことは思いません。
その子、その人なりの心づくしというのは、いつでも温かいもの。
年賀の挨拶などが「丁寧語でない!」としても
そう腹を立てる人はいないと思いますが
ビジネスなどでは、
どれが改まった表現か、誤用していないか
知っておきたいものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。