「立ち合い」と「立ち会い」の違いは?さあ、おたちあい!

たちあい

「さあ、さあ、おたちあい!」

通行人を呼び止めようと、実演販売士や大道芸人の人を呼ぶ掛け声。

このおたちあい、
「お立ち会い」か「お立ち合い」か。

どちらが正しいのか。
違いが何かが読んだらわかるよ~っ。

「さあさ、おたちあい♪」

「立ち合い」と「立ち会い」の違い

さあおたちあい!」の呼びかけ言葉。

どちらの漢字が正しいか?

答えは、お立ち会い(御立ち会い)です。

なぜか?

なぜ「合う」ではなく「会う」なのか。

 

立ち会い

その場にいて時間の共有をする
証人や参考人として、その場に居合わせる

立ち合い
双方が、真っ直ぐ向かい合う
出会って互いに競う、勝負をする

 

「さあさ、おたちあい♪」の掛け声の場合。
行商人や大道芸人が道行く人々に呼びかけるかけ声ですが
この場合は、その場にいる「人そのもの」を指しています。

イベントなどで司会者が「レディース&ジェントルメーン」と冒頭でよく言いますね。
訳すなら「(紳士淑女の)みなさま」。
それと同様で「(ここに居合わせた)みなさま」「目の前をお通りのみなさん」といった意味合いなのです。

よって、あの掛け声を漢字で書くと「御立ち会い」が正解となります。

表にして、違いを比べてみましょう。

立ち会い立ち会う
その場に居合わせる。証人としてその場に出る。その場に検証、監督のため向かい対する
工事やリフォーム 施主と工事業者が打ち合わせをしたり、作業を確認したりする
現場で、機械の運転作業などを監視する
ビジネス 監査、現場作業、契約などに立ち会う
出産 立会い出産
立会演説 選挙の際に、何人かの候補者が交代で演説をする会(公職選挙法156-2)
立会時間
証券取引所で取引が行われる時間。午前中を前場(ぜんば)、午後を後場(ごば)
事件・事故 現場検証、実況見分
立ち合い立ち合う
双方が勝負を争う。格闘する
相撲 仕切り後、体をかがめていた両力士が立ち上がる瞬間
格闘、剣道 勝負を争うこと
猿楽(狂言や能) 能で競演・相舞したり、曲を奏でること
江戸評定所の 江戸幕府の評定所(裁判所)の定例会合の呼び名

立会人(たちあいにん)、立会演説など、熟語になると送り仮名は省きます。
金融取引の金融取引の立会、立会取引、立会時間も同様です。

 

「たちあい」の送り仮名

たちあいの送り仮名は以下のかたちがあります。

お立ち会い お立会い お立会 立会
お立ち合い お立合い お立合 立合

どれが正しいのか、迷いますよね。

文化庁の内閣告示による「送り仮名のつけ方」によると、
お立ち会いお立ち合い」が基本です。

ですが、「間違いのおそれのない場合」「慣用として使われている場合」は、送り仮名を省くこと許容されています。

お立合い、お立合(お立会い、お立会)でもOKということですね。

「おたちあい」は、内閣告示第2号をよりどころに、【「送り仮名の付け方」複合の後 通則6 (2)活用のない語】を参考にしました。

おまけ・慣用句の「たちあう」

江戸時代には「そうは立ち合わぬ」という使い方で、
そう都合よくいかない、注文通りに応じられない、といった表現に使われていました。

朝から晩まで、「我なし」で勤めてござる。樂なものじや。これを「至善(注:この上もない善)に止まる。」と申します。
「至善に止る。」といへば、何ぞ至善らしいものがある樣におぼえ、窮屈がつて、きく事もいやがる。至善はそんな、石で手をつめた樣なもの(*動きのとれない、窮屈なもの)ではない。あなたがたの、日がな一日何心なう仕てござる事が、皆至善の働じや。…早合點する人は「そんならおれが、おやま買ふのも、ばくちうつのも、皆至善歟。」とおつしやらう。
さううまうは立合はぬ。至善は何もおぼえませぬ。「我なし」のきつすゐじや。ばくちうつたり、お山買かふのは、「われなし」では出來ぬ。

「日本古典文学テキスト」様のサイトより引用
続鳩翁道話(1836)

「たちあい」のまとめ

「立ち会い」と「立ち合い」の違いを記しました。

「立ち会い」は、その場に居合わせる。証人としてその場で検証、監督する。
「立ち合い」は、双方が勝負を争う。

結構な人が間違っていることに気づきます。
ビジネス文章で「立ち合います」と書くと恥をかいてしまいます。
気をつけたいですね。

また、送り仮名の付け方についても書きました。
おた「ち」あ「い」、省かないのが基本ですが、省略しても通じるのでなくてもOK。

実演販売の方が、道行く人に呼びかける「さあさあ、おたちあい!」。
漢字で書くなら「御立ち会い」。
レディース&ジェントルマン!と同様、居合わせた「人」そのものを指します。

「Ladies and Gentlemen」といえば…

イベント会場や電車などで、耳に馴染んだ英語のアナウンスですが、
「レディース&ジェントルメン…」の英語アナウンスを廃止する会社が出てきています。
多様性を尊重し「紳士・淑女」「男の子・女の子」と性別で括るのをやめたのだそうです。

大きな企業では、JALが2020年秋(10月)に乗客へのアナウンス内容を変更。
All Passengers(オールパッセンジャーズ)、Everyone(エヴリワン)、と言った呼びかけに変更しました。

その後、JR東海が新幹線でのアナウンスを同様に改訂、
そして、TDR東京ディズニーランド(東京ディズニーシー)も、
2021年から「レディースア~ンド、ジェントルメン」を廃止していました。

Ladies and Gentlemen, Boys and Girls

Hello Everyone(ハローエブリワン)

あの独特のアナウンスが、もう聞けないと思うと少し残念ですが…
そういう意味では「お立ち会い!」は、たいへんジェンダーニュートラルな言葉ですね。

以上、おたちあいの違いと表記の仕方でした。

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