「山・岳・峰」の違いは何か。
はっきりした定義や基準はないのですが、
一定の基準や違いがあります。
〇〇山と〇〇岳の違い。
山の数え方。
漢字の成り立ちからも
「山、岳、峰」の違いがわかります。
一緒にみていきましょう。
〇〇山、〇〇岳、〇〇峰の違い。
辞書で調べても使い分けがわかりにくいのが、
「山・岳・峰」ですよね。
~山、~岳など「やま」の名称に使われる場合は、
なおさらです。
意味も似かよっているし、重なっています。
その場所、その土地によって古くからある名前を
使っているというのが実際のところです。
〇〇山、〇〇岳、〇〇峰に正式な定義はないようです。
国土地理院に「違い」を問い合わせた方の報告によると、
「調査をしていない」との解答でした。
『「山と岳」なにがどうちがうねん?』さん より参照
■岳と峰の一般的な意味と違い
岳 | たけ | 高く険しい山 |
がく | 高くて大きな山 いかめしく威厳がある | |
峰 | みね | 山の一番高い所 刃物の背 |
ほう | 山の頂上 高い山 |
辞書的な意味は以上になります。
辞書では「山」よりも「岳」が高いとありますが・・・。
『富士山』は、日本のどの山より高いが「山」が付いています。
ただ、傾向として「岳」が付くと高い山なのは本当です。
『国土地理院』の山岳標高一覧によると、日本にある3000m級は、
21(26)あります。(5は、主峰の付属だが3000mを超える)
その21の山々で、〇〇山とあるのは「富士山(3776m)」と
「立山(3015m)」のみ。
他の19の山は、「〇〇岳」と名付けられています。
ですから、「岳」は高くて大きな山で間違いはありません。
しか~し! 例外もあります。
沖縄の山々には、「岳」がつく名前が多いのですが・・・。
標高が100m級の山にも「岳」とあるのです。
沖縄諸島の代表的な高い山19のうち、〇〇山とあるのは3座。
他はみな、〇〇岳という名前です。
沖縄本島の一番高い山は、与那覇岳(よなはだけ)で標高503m。
沖縄諸島の最高峰は「於茂登岳(おもとだけ)」で525.5m。
石垣島にある山でウムトゥダギ、宇本嶽、宇茂登嶽とも呼ぶ。
沖縄では拝所がある山を「嶽・岳(たき)」と読むことと、
関係しているのかもしれません。
「峰(峯)」はどうか?
「山の頂上、先端」と辞書にはあります。
確かに山の頂上を「剣ヶ峰(けんがみね)」と言いますね。
富士山の頂上付近にも「剣ヶ峰」があります。
御嶽山(長野)の最高峰も「剣ヶ峰」(3067m)、
白山(石川)の山頂部も「剣ヶ峰」(2677m)でした。
標高が1000mない、伊豆大島の三原山の山頂も「剣ヶ峰」(758m)と、
呼ばれています。
厳密な使い分けや定義はないけれど・・・。
あえて分類してまとめると、
「岳」は連なった山、岩山などの山脈のなかのひとつを指す場合、
用いることが多い。
「峰」は山頂の1部分、頂上付近を指す言葉。
「山脈」と「山地」と「高地」の意味と違い
一方で、山脈や山地といった言葉には違いが明確にあります。
山脈 | 高い山が連なっている一帯 |
山地 | 山が連なっている一帯 |
高地 | 低い山が連なっている一帯 |
高さで比べると、「山脈>山地>高地」となりますね。
「山・岳・峰」は漢字でみるとわかりやすい!
「山・岳・峰」には、漢字がある。
それは、輸入した字ということです。
そこに日本語と混ざって、今の意味になっています。
漢字の意味、訓読みと音読みの違いから、
「山・岳・峰」の違いを知ることができます。
山
山は、△型を描いた象形文字。
読みは、「やま」と「さん(せん)」
「山(やま)」
平地よりも高い場所、地形。
凸起した部分。
神が降りる場所~信仰の対象。
「山(さん)」
①やま。「山岳・富士山・山積」
②鉱物を掘る所。「鉱山・金山・閉山」
③寺院に添える語。「山号・金竜山浅草寺」
④寺院。特に、比叡山延暦寺。「開山・本山・山門」
「さん」を単体では用いない。
岳 (嶽)
岳は嶽の新漢字。
嶽が旧漢字。
獄に山冠(やまかんむり)
獄は、「犬 + 犬 + 言(かどだてていう)」
二匹の犬が争うように、いがみ合って言い合う。
そこから、「かたくとげとげしい」の意味に。
かたく、ごつごつした。⇒「ゴク(獄)」という音に。
これに、山をのせて「嶽」という字に。
なので、「嶽(岳)」は「かたくごつごつした」岩山。
「嶽」も「岳」も古くから存在する字。
「嶽」が音と漢字の組み合わせから出来た字に対して、
「岳」は意味の組み合わせから生まれた字。
「丘」と「山」で「岳」。
丘は、周囲が小高い盆地の意味。
読みは、「たけ」と「がく」
「岳(たけ)」は高くて大きい山。高山。「たか(高)」と同源。
「岳(がく)」は高い山。
「山岳・富嶽(ふがく)」 高い山
「岳父(がくふ)・岳翁(がくおう)」 妻の父
「岳秀(がくしゅう)」 高い山がそびえている様。人格の高いこと。
峰 (峯)
右側の部位~△型に先のとがった穂の形に夊(足)を加えた字。
左右の両側からきて、△型中央で出あうを示す。
読みは、「みね」と「ほう」
「峰(ほう)」は山の頂上。高い山。連峰
峰は、△型に先のとがったやまのこと。
嶺(レイ)は、高く切り立ったやま。やまの頂上のこと。
「峰頭(ほうとう)」「峰頂(ほうちょう)」 山の頂。
「連峰」 つらなり続く峰。
山は、△型の総称。
岳は、ごつごつした高い山。
峰は、山の先端、頂上。
漢字で違いを知ると、イメージが湧きやすいですね。
山の数え方とその由来
山の数え方はいくつかあります。
大きな山、高い山の場合は「座」を使います。
登山や有名な山、観光地などは、「峰、山、岳」を使います。
人間からどう見えているかによって変わります。
「ここから山を越えた場所にホテルがある」
「世界の7峰に挑戦する」
「出羽三山(でわさんざん)の絶景」
なぜ山を数えるのに「座」がつくの?
山を一座、二座と呼ぶことがあります。
大きな山や高い山に「座」を使うとありますが、
「なぜ」なのか。
「座」は、すわる、います、の他に「くら」とも
読みます。
日本では、古くから神の住まう場所を「くら」と
呼んでいました。
大きな滝や岩など自然物にも神様が宿ると信じられて
いました。
その神様の住処(すみか)を「座(くら)、倉、鞍」と呼んだのです。
「神々の御座(ござ、ぎょざ)」なんて言ったりしますしね。
一ノ倉、赤倉岳、乗鞍岳など山の名に倉や鞍がたくさん、
ついています。
赤い岩を「赤鞍」、白い岩を「白鞍」とも言います。
神が宿る赤い岩、白い岩といった意味があるようです。
山や自然に対する信仰から「座」が使われてきたのですね。
まとめ
◯◯山、〇〇岳、〇〇峰の違い。
はっきりとした基準や定義はないのでした。
しかし、傾向として「岳」が付くと、
「高くて大きな山」のことを指しています。
また、「山、岳、峰」の漢字から違いを
把握すると理解しやすいのでした。
山は、△型の総称。生活・信仰に関係。
岳は、ごつごつした高い山。
峰は、山の先端、頂上。
山、岳、峰の数え方は、
「座、峰、山、岳」を用いるのでした。