歌う、唄う、謳う、謡うの意味とは?
そして、唱う、吟うとは?も加えて解説。
違いを漢字から比べて表にしました。
漢字の意味から知ると、わかりやすいです!
是非、みていって下さい。
また、「うたうたい」はどの字が正解?
答えは、最後に!
歌うと唄うの違いと意味
歌 | 唄 | |
読み方 | うた うた(う) | うた うた(う) |
音読み | カ | ハイ バイ |
部首 | 欠(あくび・かける・けんづくり) | 口(くちへん・くち) |
画数 | 14画 | 10画 |
意味 | うた。節をつけ声をだすうた。 | 梵唄(ボンバイ※1)~仏典を調子にあわせてうたう。 |
うたう。声に節をつけうたう。音楽にあわせてうたう。 | ||
三国六朝時代 民謡調子を漢詩にした一形式 | ||
〈日本〉うた。和歌。やまとうた。 | 〈日本〉うた。民謡、俗謡。 |
歌
可、「口 + ¬型」からなる。のどで声を屈折させてだすこと。
それを2つあわせたのが哥(カ)。
歌は「欠(からだをかがめる) + 音符 哥」
~のどで声を曲折させ、からだをかがめて節をつけること。
歌うの意味
漢字からだと、体をかがめる。のどで声を曲げること。
一般的に音楽の「うたう」⇒漢字は「歌」でOK
常用漢字の「うたう」はコレのみ。迷ったらコレ!
要は、「ララ、ラ~♪」と節や音をつけて声にだすこと。
西洋由来の楽譜がある
熟語
歌学 歌曲 歌劇 歌人
唄
形声。「口 + 音符貝」梵語(ボンゴ)の音訳「唄匿(バイノク)」の略
※1 梵唄とは、仏典の偈(ゲ)頌(ジュ)、インドの詠法によるうた。
唄うの意味
英語に相当する言葉はない。
もともとが、インドからの仏教用語。
近世邦楽(江戸~)のうたを長唄、小唄、端唄と呼ぶ。
三味線やお囃子(太鼓、笛など)などがつくことも。
「古来から伝わる伝統音楽~」は間違い。
古くからあるのは長歌、小歌。
「唄う」という表現は、ほとんど使わない。
熟語
長唄 小唄 唄音 歌唄
謡うと謳うの違いと意味
謡 | 謳 | |
読み方 | うたい うた(う) | うた うた(う) |
音読み | ヨウ | オウ |
部首 | 言(げん・ごんべん・ことば) | |
画数 | 16画 | 18画 |
意味 | うたう。楽器なしで。 | うたう。歌をうたう。 |
はやりうた。ひなうた。 | (小)声に抑揚をつけてうたう。 | |
うわさ。悪ぐち。 | 抑揚をつけてうたうことば。 | |
〈日本〉うたい。謡曲。 |
謡
旧字体は謠
右側はクにテンテン + 缶
声を長くのばし、節をつけてうたうこと。
こねること、音をあらわすこと。
謡うの意味
元は楽器伴奏なしで、節をつけて謡うこと。
能楽のうたは「謡」を使う。
漢字に「言」があるように、声で抑揚、高低をつける。
文学作品や詞に音をつけてうたうこと。
熟語
謡曲 民謡 歌謡 童謡
謳
言 + 音符區(ク)」小さくまがる、おさえる
~からだをかがめて、含み声で抑揚をつけてうたうこと。
謳うの意味
なにか考えをアピールする時のうたう。
表現や主張がある時のうたう。
人前でのうたうの他、文章での表現・主張・明記も「謳う」でOK
人びとが称える・褒めること。
音楽表現での「うたう」とは、異なる~使わない。
熟語
謳歌 謳頌 謳者
唱うと吟うの違いと意味
唱 | 吟 | |
読み方 | うた うた(う) とな(える) | うた(う) うめ(く) |
音読み | ショウ | ギン |
部首 | 口(くち・くちへん) | |
画数 | 11画 | 7画 |
意味 | となえる。人より先に言う。 | うたうこと。詩歌を口ずさむ。 |
となえる。声に出して読み上げる。 | 詩歌をつくること。 | |
うた。節、拍子をつけて詞を発声する。 | うめく、うなること。 | |
それに続き声を合わせると「和」という。「唱和」 | 詩歌の1形式 | |
うたう。節をつけ長くうたう。音にあわせてうたう。 |
唱
会意兼形声、
晶(ショウ)~「日+曰(いう)」の会意文字で、
明白にものをいうこと。
晶が「晶明(明らか)」の意に専用されたため、
唱の字がつくられた。
唱は「口+音符晶」
唱うの意味
節をつけて長く「はっきり」とうたう。
うたうより、さけぶに近い意味も。
熟語
唱歌 唱和 唱名 唱道
吟
今は「かぶせるかたち + 一印(隠されるもの)」の会意文字。
物を寄せ集め、ふたをして隠す意を含む。
「口 + 音符 今」で、口をふさぎ、発音を表に出さず、
声を含んで低く出すこと。
吟うの意味
低い含み声で(はっきりと発音せず)口ずさむ⇒詩歌を口ずさむ
低く長く声を引いてうなる。「呻吟」
うた~詩体の一種、声を引いて口ずさむためにつくったもの
☆吟じることを吟(うた)うと表現。~限定的なうたう。
熟語
吟味 吟詠 吟唱 吟叫
全体を通しての違いと使い方
音楽的な「うたう」は、「歌う」が一般的。
「唄う」、「吟う」のうたうは、ほとんど使われない。
「謡う、唱う」は節をつけてうたうこと。
唱(ショウ)は、はっきりとうたうこと。
「詠う」も「謡う」も、声を長く伸ばしてうたうこと。
吟(ギン)は、低い含み声で(詩歌を)口ずさむこと。
「謳う」は理念や思想、表現の発表、主張に使う。
~音楽的な「うたう」ではない。
まぎらわしい歌のつく熟語
歌唄 (かばい)仏を称える偈を節をつけて歌うこと
歌謡 (かよう)韻文形式の文学、音楽をつけた語り物。
謳歌 (おうか)声をそろえて、褒める・称えること。
唱歌 (しょうか)第二次世界大戦終了時までの教育用につくられた歌
うたうたい~歌歌い・謡唄い・歌謡いの違い
うたを職業とする人、歌手を歌歌い
歌舞伎で長唄をうたう人を歌唄い
謡(うたい)~能楽のうたを専門にうたう人を歌謡い
上の意味のように、区分けはあるが厳密ではない。
もう、好みの問題か?
迷ったら、歌うたい。
まとめ
歌う、唄う、謳う、謡う、唱う、吟う
~これらの意味と違いを漢字からみてきました。
それぞれ、違いがありますが、
迷ったら「歌」を使うのが安全!
こう結論づけて終わります。
歌を「よむ」の意味や違いはこちらを御覧ください。